ムーミン谷はどこにある? ~センター試験地理Bの出題に寄せて~

ムーミンはスウェーデン語系フィンランド人であるトーベ・ヤンソンによって、フィンランドで創造された物語です。劇中の気候や風土の描写はフィンランドのそれを思わせるものですし、第3作『楽しいムーミン一家』(原題は「魔法使いの帽子」)が初めて英訳された時、つけられたタイトルは”Finn Family Moomintroll”、すなわち「フィンランドのムーミントロール一家」でした。SNSで何人もの方が指摘されているように、第8作『ムーミンパパ海へいく』の巻頭に添えられた、ムーミン一家が移住する灯台のある島を描いた挿絵に、はっきりと「フィンランド湾」と書かれていることも事実です。

しかし、トーベはこうも言っています。
「ムーミン谷に住んでみたい。そう思った瞬間、あなたはもうムーミン谷の住人なのです。」
現在の権利者の公式見解はこれに則り、ムーミン谷はフィンランドを含むどこか実在の場所にあるものではなく、現実とは別のファンタジーの世界であるとしています。

ただ、今回の出題は、原作ではなくアニメーション(図版から見て昭和40年代に日本で放映されたもの)について尋ねています。今と違い、eメールはおろかファックスすら普及していない時代に制作され、原作者の監修もままならなかったこの作品の設定については、残念ながら権利者の手元にも十分な資料がありません。客観的な事実として、その舞台がフィンランドと設定されているのかどうかは、第三者の検証に委ねたいと思います。

疑問が早期に解決することをお祈りしています。
ムーミン公式サイト